植田

こんにちは、植田です。

目次
  1. テスト
  2. 経営業務の管理を適正に行える能力を有する(ケイカン)・・・を証明する書類
    1. (1)現在常勤であること及び現在の地位の確認資料
    2. (2)過去の経営経験等を裏付ける確認資料
  3. 適切な社会保険に加入していること・・・を証明する書類
    1. どんな事業者が適用事業者?
    2. 雇用保険の適用事業者の確認資料
    3. 健康保険・厚生年金の適用事業者の確認資料
  4. 専任技術者の配置(センギ)・・・を証明する書類
    1. (1)センギの 現在の常勤性の確認資料 
    2. (2) センギの要件(一定の資格又は経験)を満たしている証明のための必要書類・確認資料
    3. (3)専任技術者の要件の証明に実務経験の証明が必要な場合は?
      1. ~証明者が建設業許可を有していた場合~
      2. ~証明者が建設業許可を有していない場合~
  5. コラム:専技は現場に出られない?
  6. 適切な営業所が存在すること・・・を証明する書類
    1. 営業所が事業主の所有となる場合 (Eさんの場合)
    2. 営業所を賃貸している場合 (Dさんの場合)
  7. 財産的基礎等・・・を証明する書類
    1. (1)自己資本が500万以上あることを証明する書類
    2. (2)500万以上の資金を調達する能力がある証明書類
  8. 欠格要件等に該当していないこと・・・を証明する書類
    1. (1) 登記されていないことの証明書
    2. (2) 身分証明書
    3. そしてとっても重要な・・・(3)誓約書
  9. 立証資料のまとめ
  10. 行政書士に頼むメリット

テスト

この記事は「神奈川県で」「個人事業主が」「一般建設業許可」を取得する場合の、「許可要件を満たしていることを証明する書類」について解説する記事です。

実際の許可では、それぞれ個別具体的な案件に沿って書類の作成が必要です。一例として参考にしていただければ幸いです。

D子さんのプロフィール

D子さん【左官工・個人事業歴6年・実務経験11年・資格あり】
川崎市高津区在住の36歳。Eさんの双子の姉。得意な工事は土間のモルタル仕上げ。


現在個人事業主で左官工事業をしている。
地元の普通科高校を卒業し私立大学に入学。

不動産の会社に勤め営業部に配属となるも、

戸建ての建設現場で出会った左官職人X氏の技に魅せられ、

25歳でX氏の会社㈱X組(左官工事会社)に転職する。


在勤中に子育てをしながら2級建築施工管理技士の資格を取得、

30歳で独立(屋号:「D左官店」)した。

ご主人も協力的で、自宅である賃貸マンションの一室を事務所として使用しており

堅実に暮らしている。


最近、大手ハウスメーカーの左官工事の話が来たのだが、

ハウスメーカーにもう少し業歴の長い業者がいいと言われ、

元請は別の業者に仕事を流してしまった。


腕には自信があったのだが、それだけでは長くやっていける気がせず、

今回建設業許可の取得を目指すことにした。

E男さんのプロフィール

E男さん【左官工・個人事業歴10年・実務経験18年・資格なし】
川崎市高津区在住の36歳。Dさんの双子の弟。得意な工事は和室の砂壁。


現在個人事業主で左官工事業をしている。


17歳の時に新聞配達先にあった㈱X組(左官工事会社)の事務所に一目ぼれし、

18歳の時に㈱X組の社長X氏に弟子入り。

すぐに頭角を現し、24歳になるころには数人の若い職人を束ねる職長を任されていた。

ある日、給料をもらいに事務所を訪れると、なんと姉がいた。

X氏によると、不動産に詳しい若手としてぜひ採用を考えているというのだ。

姉との仲は良好ではあったが、同じ会社に勤めるのはやはり気恥ずかしく

26歳の時にX氏の了承を得たうえで部下(Fさん)を一人引き連れ独立。(屋号:E左官工業)

自慢できる生活をさせてやりたい、と Fさんには高い給料を払うなど、

金払いもよく、最近は奥さんの希望もあり事務所を兼ねて、

奥さんの両親と二世帯住宅でのマイホームを購入。


最近では、ずっと求めていた大手ハウスメーカーからの受注があり、

もっと大きな受注に備え、増員や、建設業許可の取得を考えている。


今回は資格の有無や、雇用の有無での申請書類証明書類にどのような差が出てくるかわかりやすく比較するため、D子さんE男さんの双子のご兄弟、そしてEさんの弟子Fさんに来ていただきました。

植田

技術はもちろん美的センスも問われる左官屋さん、とても素敵ですよね。
女性の活躍も多いと聞きます。
本日はどうぞ、よろしくお願いいたします!

D子

D子さん(姉)
左官職人
個人事業歴6年
実務経験11年
資格あり
一人で事業を行っている

E男

E男さん(弟)
左官職人
個人事業歴10年
実務経験18年
資格なし
雇用している職人さんあり

Fさん

Fさん
DさんとEさんの後輩
Eさんの技術を学ぶため、
いまはEさんに雇用されて
いる。
指定学科卒業している。

植田

・経営業務の管理を適正に行える能力を有すること(ケイカン)
・ 適切な社会保険に加入してること
・専任技術者の配置(センギ)
・適切な営業所が存在すること

・財産的基礎等
・ 欠格要件等に該当していない
これらの要件を「十分満たしてます!」という証明をしなくてはいけません。
ではお二人の要件を証明できる書類とはどのような書類なのか見ていきましょう!

経営業務の管理を適正に行える能力を有する(ケイカン)
・・・を証明する書類

建設業許可の第一の難関であり絶対的要件である「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること。」

そのなかでも求められるのが「適正な経営体制である」ことです。それには、要件を満たしたケイカンの存在が必要で、その存在を証明しなくてはいけません。


そのためには、 ケイカンとなる人の

(1)現在常勤であること及び現在の地位の確認資料
(2)過去の経営経験等を裏付ける確認資料


が必要です。

(1)現在常勤であること及び現在の地位の確認資料

要件書類
(1-1)現在常勤であること個人事業主では不要
(1-2)現在の地位の確認資料個人事業主では所得税確定申告書の写し個人事業主の開業届

(2)過去の経営経験等を裏付ける確認資料

要件書類
(2-1)事業主期間の裏付(証明する期間分所得税確定申告書の写し等
(2-2)建設業に係る経営業務を行っていた裏付次のAまたはBのいずれかを必要年数分添付してください。

(2-2)Aの書類 

建設工事であることが明確に判断できる工事請負契約書
工事注文書
工事代金請求書の控え
工事請書控えの写し
(工事代金請求書の控え又は工事請書控えの場合は、対応する入金確認資料を併せて添付)         ・・・・・を、証明する期間各年1件以上


※ 見積書、納品書のみでは認められません。※ 当時の書類の写しであることが必要です。(申請のために復元した書類、後日注文者が内容を証明した書類は認められません。)原本が電子データで、パソコン等で当時の電子データ(注文書等)を印刷したもの、また、FAXで送付された注文書等で当時の注文者の印がないものについては、入金確認資料を併せて添付してください。

(2-2)Bの書類

該当年の所得税(個人の場合)確定申告書(証明する期間分)の写し

確定申告書の事業種目欄で建設工事であることが明確に判断できるもの。(確定申告書に添付された法人事業概況説明書の事業内容欄でも可)※ 税務署又は青色申告会の収受日付印のあるもの。電子申告の場合は、申告した電子申告書及び税務署から送信された申告書の受信通知(メール詳細等)の写しも添付してください。

植田

ただし、他社で働いている場合は、別途書類が必要だったり
ケイカンになることができなかったりしますから、ご注意ください!

適切な社会保険に加入していること
・・・を証明する書類

建設業許可の第一の難関であり絶対的要件である「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること。」は「ケイカンの存在」だけでは証明できません。令和2年10月1日の建設業法改正により、適切な社会保険に加入していることが建設業許可を受ける(継続する)ための要件となりました。


健康保険、厚生年金保険及び雇用保険加入すべき事業所(営業所)(「適用事業所」といいいます。)において、適用除外に該当する場合を除き加入の確認ができない場合は、建設業の許可はできません

どんな事業者が適用事業者?

すべての事業者が各保険に加入しなくてはいけないわけではありません。「加入しなくてもいい」事業者もあるのです。誰も雇っていない個人事業は何の社会保険加入の義務もありませんが、一人でも雇用すると義務が発生します。

雇っている人数健康保険 厚生年金保険雇用保険
5人以上必須必須必須
1~4人必須
同居の家族だけ
自分ひとり
個人事業主の場合
D子

私は完全に一人での事業になるので
なんの社会保険にも入る必要がなければ証明する必要もないってことですね!

植田

はい、Dさんは必要なさそうですね。
適用事業所とは上記の事業所で、「必須」となっている事業所のことです。
EさんはFさんを雇用しているので、雇用保険の適用事業所になりますね。

E男

ぼくは1人雇用していて、雇用保険に加入しているから、雇用保険の加入の証明が必要なんですね!


適用事業所であることが確認出来たら社会保険の加入を証明しなくてはいけません。確認資料としてそれぞれ次の資料を添付してください。

雇用保険の適用事業者の確認資料

加入の仕方必要書類備考
自社で申告している労働(雇用)保険の「保険料申告書」の写し
+
この申告書の金額と対応した領収書の写し(領収印の押印されているもの)
・申告書や納入通知書や領収書は、申請日直前のもの。

 ・新年度で1回目の納期が 来ていない場合は、前年度の申告書や納入通知書+領収書

・電子納付等で領収印がない場合は、支払の確認できる預貯金通帳の写 し 
労働保険事務組合に
申告を委託している
事務組合発行の「労働(雇用)保険料等納入通知 書」の写し
+
この納入通知書の金額と対応した領収書の写し(領収印が押印されてるもの)
上記と同様

健康保険・厚生年金の適用事業者の確認資料

加入の仕方必要書類備考

健康保険と
厚生年金保険
どちらも年金事務所で加入の場合(健康保険は協会けんぽ) 

年金事務所発行の保険料領収書の写し(保険料の記載があり領収印が押印されていること。)
 ・申請日直前に発行された もの。
・電子納付等により領収印 がない場合は、支払の確認できる預貯金通帳の写 しを提出してください。
(申請者名、金融機関名 の確認できるように)
健康保険について、
健康保険組合に加入の場合
各健康保険組合の保険料の領収証の写し(領収印の押印のあるもの)
+
年金事務所発行の保険料領収証の写し
上記と同様

建設業に関する
国民健康 保険組合に加入の場合
加入証明書の原本
または
健康保険証(事業所名の記載されて いるもの)の写し全員分 

+
上二つにプラスして年金事務所発行の保険料領収書の写し

・加入証明書は申請日前3 か月以内に発行されたも の。 
・健康保険証を提出する場 合は、保険者番号、被保険者記号、番号部分にマスキングをして提出する。 

専任技術者の配置(センギ)
・・・を証明する書類

次に「常勤する経験や知識が豊富な専任の技術者」の存在が求められます。この技術者の存在も証明しなくてはいけません。

建設業を営む全ての営業所ごとに配置する専任技術者について、

(1)常勤性(専任性)
(2)技術者要件(一定の資格又は経験)

を証する確認資料が必要です。

(1)センギの 現在の常勤性の確認資料 

要件・状況書類
(1-1)個人事業主本人がセンギになる場合省略可
(1-2)その他の人(従業員)がセンギになる場合次のア~キのどれかを提出。

健康保険被保険者証
イ 年金事務所で手続きをした「健康保険被保険者資格証明書交付申請書及び健康保険被保険者資格証明書」の写し
建設業国民健康保険加入証明書の原本
エ 直近の「健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書」又は「被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書」の写し
オ 直近の「住民税特別徴収税額通知書」、通知前の場合は「特別徴収切替申請書
カ 個人の場合・・・直前決算の所得税確定申告書B第一表と第二表、青色申告の場合は加えて青色申告決算書の写し(事業専従に関する事項・専従者給与の内訳欄で給与年額が130万円以上であることが確認できる場合のみ可。)
キ 直前決算の所得税確定申告書B第一表と青色申告決算書又は収支内訳書の写し(給与賃金の内訳欄で給与年額が130万円以上であることが確認できる場合にのみ可)

※ 法人の場合は上記の資料に代えて、直前決算の法人税確定申告書表紙(受付された控え(注6))と勘定科目内訳明細書の役員報酬等内訳書の写し(常勤の役員で報酬年額が130万円以上であることが確認できる場合に限る。)でも可能。

(2) センギの要件(一定の資格又は経験)を満たしている証明のための必要書類・確認資料

センギは4つのルートで目指すことができます。

学校+実務実務のみ資格あり登録基幹技能者講習修了者の4ルートです。

センギとなる者の状況要件書類
(2-1)学校+実務経験 指定学科卒業後、申請業種について大卒で3年以上
高卒で5年以上の実務経験を有する
専修学校指定学科卒業後、申請業種について5年以上(専門士、高度専門士を称する者は3年以上)の実務経験を有する


①指定学科の卒業証明書(原本)又は卒業業証書写し
②実務経験証明書
③許可を受けようとする業種の実務経験および在籍の確認資料

(2-2)申請する業種について10年以上の実務経験がある申請する業種について10年以上の実務経験を有する①実務経験証明書
②許可を受けようとする業種の実務経験および在籍の確認資料
(2-3)国家資格等を有する場合申請しようとする許可業種に対応する国家資格等を所持している。資格者証(技術検定合格証明書、技術士免状、免許証など)写し必要に応じて実務経験証明書
②(必要に応じて)業種の実務経験および在籍の確認資料
(2-4)登録基幹技能者講習修了者登録基幹技能者講習修了者であること有効な登録基幹技能者講習修了証の写し
D兄

うちは私自身がセンギになる予定で、2級建築施工管理技士(仕上げ)をもっているので、一般建設業許可を取得する場合は、常勤性の証明や実務経験の証明が不要なんですね!

E男

実は、私は前職のXさん所からF君を引っ張ってきたものだから、正直私の実務経験の証明をXさんにお願いをするのは厳しくて・・・。
私の場合は資格がないので10年の実務経験を証明しないといけないのに、X組以外での実務経験は10年満たないんです。
なので、高校の指定学科を卒業して、うちで5年以上勤めているFくんをセンギにしようと思っているんです。

植田

職人さんをやっていると、いろんな事情がありますよね。
Fさんをセンギに立てるなら、(2-1)学校+実務経験なので、Fさんの指定学科を卒業した証明と、下記の実務経験の証明が必要ですね!
Eさんの事業所「E左官工業」はまだ建設業を取っていないので、すこし証明書類の量が多そうですね!
Fさん、卒業証書持ってきてくださいね!

Fさん

・・・・。

(3)専任技術者の要件の証明に実務経験の証明が必要な場合は?

上記の通り、資格がない場合や、その資格では「知識や経験として足りない」場合は実務の経験をしてきたことの証明が必要です。ここでいう「証明者」とは「センギが勤めていた法人の代表・センギの勤めていた事業所の個人事業主」のことです。

専任技術者の要件を実務経験で証明する場合は、

(3-1)証明者の事業所で申請する建設業種の実務に従事していた期間

(3-2)その業者に常勤で在籍していた(いる)期間

の、両方が重なる期間を必要年数分、証明することが必要です。


「両方が重なる期間」を、実務経験証明書実務経験年数」欄に記載要領に従い記載します。
証明方法は、証明者が建設業許可を有してるか否かでかわってきます。


(3-1、2)証明者の事業所で申請する建設業種の実務に常勤で従事していた期間の証明

~証明者が建設業許可を有していた場合~


①申請する建設業種の実務に従事していた裏付書類

  • 裏付書類や実務経験証明書の左上余白欄に許可行政庁・許可番号・許可業種・許可期間を書き込む。
  • 許可通知書の写し、許可申請書の副本の写しがあれば、添付する。

※証明者の持つ許可の期間内に、専技となる人の必要経験年数が重なる場合には上記の記入でOK。※その期間だけでは必要な実務経験期間が足りていない場合、下記の「証明者が建設業許可を有していない期間」の①の資料も必要。

※ 記入した証明者が許可業者であると確認できなかった場合も、下記「証明者が建設業許可を有していない期間」の①の資料が必要。

② 常勤で在籍していた期間の裏付資料

  • 「証明者が建設業許可を有していない場合」の②と同じ資料を添付。

~証明者が建設業許可を有していない場合~

① 申請する建設業種の実務に従事していた裏付書類
次のア、イのいずれかを必要年数分添付。


ア の書類

  • 工事請負契約書
  • 工事注文書
  • 工事代金請求書の控え又は工事請書控えの写し

上記のいずれかを、証明する期間各年1件以上

※工事代金請求書の控え又は工事請書控えの場合は、対応する入金確認資料を併せて添付する。
※ 見積書、納品書のみではNG。



イ の書類

  • 所得税(個人の場合)確定申告書(証明する期間分)の写し

※ 税務署又は青色申告会の収受日付印のあり、確定申告書の事業種目欄で申請業種が明確に判断できるもの。

②常勤で在籍していた期間の裏付

  • 社会保険の被保険者記録照会回答票写し(健康保険、厚生年金、雇用保険いずれでも可。ただし、現在在籍している会社以外の会社の場合は、始期と終期が明確な期間に限る。)
  • 健康保険被保険者証写し(協会けんぽの保険証に限る。申請会社に在籍している場合に限り資格取得日以降の期間を証明。)
  • 源泉徴収票写し又は源泉徴収簿の写し(証明する年数分)など。

※ いずれも、本人の氏名、事業所名が明記されているものに限る。

植田

実際、現場に出ながら
・工事請負契約書
・工事注文書
・工事代金請求書の控え又は工事請書控えの写し
 を収集してまとめる作業は結構大変です。
証明者が建設業許可をもっていると、センギの要件を満たしている証明がぐっと簡単にできるんです。

D子

そういえば、センギは現場に出ちゃいけないって聞いたことがあります。
私たちみたいな比較的規模の小さな事業者は、実際どうしているんでしょうか?

植田

仰る通り、基本的にセンギは工事現場にでることはできないのですが、例外があるんです。

Fさん

・・・・。

コラム:専技は現場に出られない?

センギがそもそも現場に出られない理由とは

センギは工事現場ではなくその営業所において事務手続(見積もりや契約など)を行うために営業所に常駐する必要があるのです。

なので原則、センギは「工事現場に出るのはダメ」現場で作業をするとなると営業所への専任性、常勤性を満たせないのです。

ただし

そうなると一人親方など小規模事業者は建設業許可の取得がかなり難しくなってしまいます。そこで条件を全て満たす場合に限り、センギは現場に出てもOKになります。

  • 現場に出ていても、センギ自身が所属する営業所と常時連絡がとれる
  • 出ている現場がセンギの所属する営業所で契約した工事の現場である。(といことは、営業所が複数なければ問題ありません)
  • センギの仕事(契約や見積もり等事務作業)がきちんとできるくらいの近場の現場であること
  • 専任性が求められる現場ではないこと。
植田

「専任性が求められる現場」とは、比較的大規模な工事が該当します。
例えば、公共性のある多くの人が利用する学校や駅の工事や、工事1件の請負金額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)の工事の現場が専任性を求められます。

D子

なるほど・・・。
だから周りの同業者は一人親方でもケイカンとセンギを兼ねながら現場に出ているんですね。

E男

僕はハウスメーカーからの個人宅の小規模工事がメインだし、常に営業所と連絡を取り合えたりなど出来る状態であれば、センギを兼ねることも、問題ではないんですね!

Fさん

・・・・。

適切な営業所が存在すること・・・を証明する書類

営業所も適切なものでなくてはいけません。適切な営業所であると証明するのに必要な写真を添付します。台紙は神奈川県HPの建設業許可の手引きのページからダウンロードが可能です。

(1) 営業所の状況を示す写真
① 建物の外観の写真・・・商号のかかれた看板も入っている状態
② 事務室内の写真・・・デスクや電話機、FAXやPCなど応接間(テーブルと対になった2脚の椅子など)営業所として適切に営業できる状態に必要な機器が写っている写真です。
上記の写真を各二、三枚程度台紙に貼り付けます。

(2) 営業所の所有状況はどうなっているか
写真台紙に、「自己所有」「賃貸借等」のどちらであるかを記入します。この自己所有か否かで、必要な書類が変わってきます。

営業所が事業主の所有となる場合 (Eさんの場合)

以下のいずれかの書類が必要です。

  • 固定資産評価証明書等
  • 営業所の建物登記簿謄本
  • 直前に発行された固定資産税納税通知書表紙及び課税物件明細書

※上記上二つは発行後3か月以内のもので、なおかつ原本でなければいけません。

営業所を賃貸している場合 (Dさんの場合)

以下のいずれかの書類が必要です。

  • 直前決算の法人税確定申告書表紙及び添付された決算書の地代家賃の内訳書のコピー
  • 建物の賃貸借契約書のコピー

住んでいる賃貸物件を事務所として利用している場合に多く見られるのが「住居利用のみでの賃貸借契約」をしている場合です。

今回、営業所として建設業許可を申請するにあたって、「事務所利用可」でないといけません。しかし一応それが理由で許可を拒否されることはないようです。

ですが、「住居利用のみでの賃貸借契約」をしている以上、賃貸物件の所有者との契約を違反してしまうことになりますので、所有者へ事務所利用を認めてもらうか、他の事務所利用可能な物件を借りて事務所にするか検討されたほうがいいです。

E男

ついこの間、家内の希望もあって注文住宅でマイホームを建てたんです。義両親と二世帯なので、義父と話し合い、事務所利用できるようにと、看板も設置して、玄関の入り口とは別に事務所出入口を設けて、10畳ほどの営業所と3台分の駐車スペースを併設したんです。
営業所はばっちりだと思いますよ!

植田

いいお婿さんですね!
でも、その不動産の名義がお義父さんだったりすると、また必要な資料が変わってきます。
確認しておいてください!

D子

うちは賃貸マンションの一室である自宅の一部屋を事務所にしてるんです。
家族の環境を変えたくないし、引っ越しやもう一部屋借りることも想定していないんですが、こういった場合は厳しいのでしょうか?

植田

代表者の自宅などの一室を営業所と使用している場合は、事務室部分と住居部分が明確に区分されていなくてはいけません。
自宅玄関を開けてリビングなどの生活空間を通らなくても入室ができる玄関から一番近い部屋を事務所とすると分離しやすいですよ。

財産的基礎等・・・を証明する書類

次に財産的基礎要件です。請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していることを証明しなくてはいけません。この証明に必要となる書類は以下の通りです。

(1)自己資本が500万以上あることを証明する書類

または

(2)500万以上の資金を調達する能力がある証明書類

(1)自己資本が500万以上あることを証明する書類

個人事業の場合はこの方式で自己資本の額を算出できます。

(期首資本金+事業主借+事業主利益)-事業主貸+(利益留保性引当金+準備金)

自己資本が500円以上ある場合、特に証明書類等を用意する必要はなく、許可申請において提出が必要な「財務諸表」という決算内容を記入する書類で貸借対照表の純資産合計の額により確認されます。ここで貸借対照表上の資産が500万円を超えていれば別途計算をする必要ないのです。

(2)500万以上の資金を調達する能力がある証明書類

銀行口座内の残高が500万以上あれば問題ありません。証明する書類は、金融機関発行の残高証明書です。もし残高が現在500万円に満たない場合は、許可申請直前に一時的に入金して残高500万円以上にするだけでもOKです。ただし有効期限があり、許可申請前1ヶ月以内に発行された預金残高証明書でなければいけません。

支払いの時期を見誤ったり、他の資料の調達に手間取り許可申請がタイミングが先送りになったりなど、スケジュールを間違えるとちょっとめんどくさいことになってしまいますね。

D子

この要件は知っていたので、私は500万以上の残高証明がいつでも出せるような状態にしていました!

E男

ぼくは結構大きな買い物や、Fくんの給料も結構いい額を渡せるようにしているので、まとまったお金がなかったので心配だったんですが、前期からはかなり売り上げもいいので、自己資本500万でいけそうです。

欠格要件等に該当していないこと・・・を証明する書類

建設業法8条には許可を受けることができない、いわゆる欠格要件について列挙しています。この「欠格要件に該当していないこと」を証明する書類も必要です。

植田

みなさんは建設業法8条をきちんと読んだことが有りますか?
こんなにたくさんの許可してはいけない場合があるんです・・・。

一 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
二 第二十九条第一項第五号又は第六号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者
三 第二十九条第一項第五号又は第六号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日から当該処分があつた日又は処分をしないことの決定があつた日までの間に第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出をした者で当該届出の日から五年を経過しないもの
四 前号に規定する期間内に第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、前号の通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの
五 第二十八条第三項又は第五項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
六 許可を受けようとする建設業について第二十九条の四の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
七 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
八 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
九 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(第十三号において「暴力団員等」という。)
十 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに第一号から第四号まで又は第六号から前号までのいずれかに該当する者のあるものに係る部分に限る。)のいずれかに該当するもの
十一 法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第九号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
十二 個人で政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第九号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
十三 暴力団員等がその事業活動を支配する者

・・・ざわ・・・          ざわ・・・ 

・・・ざわ・・・                  ・・・ざわ・・

・・・ざわ・・・

D子

こんなにたくさんのことに該当していないという証明をしないといけない・・・ってコト!?

植田

さすがに一つ一つを証明するわけではありません。
上記の建設業法8条の各項目に該当していないという誓約書や最低限の証拠書類を添付するんです。

上記の法第8条に定める欠格要件の中の一つ、心身の故障により建設業を適正に営むことができない者又は破産者で復権を得ないものに該当していないということを確認するため、

(1) 登記されていないことの証明書

(2) 身分証明書


の二点が必要です。


(1) 登記されていないことの証明書


法務局が発行する成年被後見人又は被保佐人の登記がされていないことの証明書です。法務局の後見登録課に請求し、取得することができます。請求方法は窓口へ出向く方法と、郵送が選べます。

今回の神奈川の場合では下記で入手が可能です。

窓口名アクセス電話番号
窓口横浜地方法務局 戸籍課横浜市中区北仲通 5-57 横浜第2合同庁舎 045-641-7461
郵送東京法務局 民事行政部 後見登録課 東京都千代田区九段南 1-1-15 九段第2合同庁舎 03-5213-1234

(2) 身分証明書


身分証明書というと、保険証や運転免許証が思い浮かびますが、ここでいう「身分証明書」は成年被後見人又は被保佐人、破産者で復権を得ないものではないことを証明する書類で、本籍地所管の市町村の長が発行するものです。なので本籍地のある市町村の戸籍担当課の窓口で交付の申請をしてください。

そしてとっても重要な・・・(3)誓約書

誓約書は神奈川県の建設業許可のページからダウンロードが可能な書類です。記入項目も少なく、簡単に作成できます。しかし、欠格要件者がいないこと、その他ウソ偽りない申請をしている旨を誓うための書類ですので重要かつ、失敗(記入ミスなど)が恐ろしい書類の一つです。

許可を受けた後であっても取り消しを受けますし、取り消し処分を受けると、欠格要件を重ねてしまうことになり、正当に許可を受けることができなくなってしまいます。

誓約書はペライチの簡単な書類ですが、その意味は重いものです。申請書一式を作成する際は、慎重に確認しながら行いましょう。

立証資料のまとめ

ここまで「神奈川県で」「個人事業主が」「一般建設業許可」を取得する場合の、「許可要件を満たしていることを証明する書類」について見ていただきました。一例ではありますが、まとめとしてDさんEさんの要件の立証資料一覧を見てみましょう!

植田

とりあえず要件の立証資料で最低限のものは出そろいましたね!
Fさんも卒業証書用意してくださいね!

Fさん

ずっと言い出しにくかったんですが・・・、実は僕、上京時に高校の卒業証書を失くしてしまったんです・・。

E男

ええ~・・・。

植田

だから今まで黙って聞いていたんですね!
大丈夫ですよ、建設業の皆さんを手助けするのが私たちの役目です。
合格証書の紛失はたまに聞く事例の一つでもあります。
まずは再発行など、調達できるか確認が必要ですね!
他にも何か問題があればぜひご相談ください!

行政書士に頼むメリット

たくさんの要件があって、その要件を満たしていることの立証資料もたくさんありましたね。

でもこの書類を全部集めたところですぐに申請ができるわけではありません。ほかにもたくさんの書類を集めたり作成する必要があり、要件を満たす立証書類が集まった時点はいわば、建設業の許可を取得するためのスタート地点に立った状態でしかないのです。

D子

この書類を全部集めて、そのうえで申請に必要な資料の作成をしなきゃいけないんですよね・・・。
うちは子供がまだ小さいし、現場出て保育園にお迎えに行って、次の現場の準備、人の手配、材料の発注、時期によっては請求書をまとめたり・・・。
家事も料理担当は私なので現場終わった時間を使って書類の収集や作成は、かなり大変そうです・・・。

E

ぼくも、最近大きめの案件が多くて、平日しか開いていない窓口に行くためでも、現場に穴をあけるのって信用問題になってしまうし、そもそも売り上げが落ちるようなことしたくないんですよね。
そしてなにより、書類、資料、要件だかなんとか・・・。
正直、めちゃめちゃめんどくさそうです。

お二人の気持ちは至極真っ当です。

トリカニ兄弟の父も子供を育てながら経営業務をこなし、現場にでて、建設業許可を取得していました。そんな父も建設業許可を取得するのに依頼していたのが「行政書士」です。

植田

なので、自署や押印などのご本人しか書けないところを除き、多くの書類の作成ができる権限があります。
もちろん皆さんが書きなれていない各契約書の作成もできますよ!お依頼があれば、様々な図面の作成も致しますし、代理で必要書類の収集ももちろんできます。

このように、行政書士のできることって、とっても多いんです。

D子

なるほど・・・。だからXさんの事務所にもたまに行政書士が出入りしていたんですね。

E男

卒業証書の件も含め、まずは、相談だけでもいいですか?

今回のDさんEさんのケースは一例で、本来は個別具体的に状況を考慮し緻密に書類を作成する必要があります。不明点や不安な部分等がある場合は安易にそのまま申請せず、一度申請先や行政書士へ相談されることをお勧めいたします。