こんにちは、植田です。
Bさんのプロフィール
川崎市宮前区在住のBさんは、配管工事業を営んでいる38歳。
工業高校卒業後、とび職として建設業に携わる。
21歳で地元の配管工事業者に転職し、25歳で資格を取り
現在は独立している。最近組合の飲み会で再会した同業の高校の先輩が
建設業許可を取り、人の雇用も始めたという。
彼は最近では元請業者からいい仕事をもらっていると聞いた。
川崎市で配管工事をやってるんだけど、
周りの同業の社長や一人親方が結構みんな「建設業許可」を
取得して仕事してるんだよね。
必要なら取得を考えてるんだけど、そもそもみんな
なんで許可を取ってるのかな?
一定の期間事業をやっていると、許可の取得の有無が
気になってきますよね。
では今回はそもそも建設業許可とは何なのか
解説していきます。
そもそも建設業許可って?
根拠となる法律は「建設業法」です。
この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
・・・上記を読んでもらうとわかる通り、建設業法は
①公共の福祉の増進に寄与
このために・・・↓
②発注者保護・建設業の健全な発達の促進
このために・・・↓
③建設工事の適正な施工
このために・・・↓
④建設業を営むものの資質の向上!
建設工事の請負契約の適正化! をする!
と言っているのです
・・・つまり
真の目的である①公共の福祉の増進に寄与するために、④建設業を営むものの資質の向上!建設工事の請負契約の適正化をすると言っているわけです。
建設されたインフラや住宅で人間は生活をしています。
建設業は、構造物にミスがあったら、人間の生命に直結した損害がでる可能性の高い、非常に責任が重い仕事。
途上国では、建設関係の法整備が進んでいないため、地震など災害で建築物が倒壊、ダムが崩壊、橋が崩落・・・というニュースが流れています。
ですが地震大国日本で、安心して暮らしていけるのも、建設業法をきちんと守って建設工事をしてくれる日本の建設業者がいるからなのです。
この安全性を高水準に維持するために、一定の建設工事に関しては「許可を持っている者」だけが行えるものとして取り決め、安全性を担保しているというわけです。
どんな人が許可をとってるの?
そんな目的のために生まれた建設業許可ですが、すべての建設業者が許可を取らなくてはいけないわけではありません。
許可を取得している建設業者にはいくつか種類があります。
①許可が必要な工事をするため、取得は必須だった
軽微な建設工事
建築一式工事・・・次のいずれかに該当する場合
(1)一件の請負代金が1,500万円未満の工事(消費税込み)
(2) 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事(※2)
建築一式以外の建設工事・・・一件の請負代金が500万円未満の工事(消費税込み)
上記の「軽微な建設工事」以外の建設工事(軽微ではない建設工事)を行うすべての業者が建設業許可が必要な業者となります。もちろん、法人個人は問いません。
それにプラスして、建設業近辺の業務として存在いているが、「そもそも建設工事ではないもの」があります
建設工事ではないもの
剪定、除草、草刈り、伐採
道路・緑地・公園・ビル等の清掃や管理、建築物・工作物の養生や洗浄
施設・設備・機器等の保守点検、(電球等の)消耗部品の交換
調査、測量、設計
運搬、残土搬出、地質調査・埋蔵文化財発掘・観測・測定を目的とした掘削
船舶や航空機など土地に定着しない動産の築造・設備機器取付
自家用工作物に関する工事
上記の業務はそもそも建設工事にあたらないため、建設業許可は必要ありません。
②元請から許可の取得を勧められて許可を取った
無許可で、許可の必要な工事を行うと、無許可工事として違法に当たりますが、罰せられるのは工事を行った事業者だけでなく、請け負わせた元請も罰せられる対象になります。
昨今、建設現場でも法令順守が強く求められ、一定の信用を持っている事業主が好まれているのは、現場で働いている皆さんが1番感じているのではないでしょうか?
なので最近では「①許可をとらないといけない工事を請けている」わけじゃなくても元請さんから許可取得を促されるケースが非常に多いのです。
③これから大きな受注を目指している!
建設業の許可を取得するということは、許可が必要な《軽微でない大きな工事》を請け負えるということ。
ということは1件単価をあげられ、売り上げ増加を望め、対外的な信用度も増します。
金融会社からの借入可能額の引き上げも可能にします。
運転資金の調達力があげられるということは、新規事業も望めます。そのため、今のところ許可が必要な工事の請負はないけれど、今後始めていきたいという事業者さんには、要件を満たして、早めの許可取得をお勧めしております。
なるほど・・・。
すぐには必要ないけど、いざ大きな仕事が来たって
慌てずに受注できるようにするためには、とれるなら
はやめに許可をっとっておいたほうがいいかもしれない
んですね。
許可の種類「知事許可」と「大臣許可」
建設業の許可は、知事許可と国土交通大臣許可に区分されます。
神奈川県知事許可
神奈川県内にのみ営業所を設けて建設業を営もうとする場合は、神奈川県知事許可が必要です。
国土交通大臣許可
2都道府県以上に営業所を設けて建設業を営もうとする者は、国土交通大臣許可が必要です。営業所ごとの業種が違っても大臣許可となり、同一の建設業者が知事許可と大臣許可の両方の許可を受けることはありません。※ いずれの行政庁で許可を受けた場合も、全国の現場で工事を施工することができます。
許可の種類「一般」と「特定」
もう一つの区分として建設業の許可は、一般建設業と特定建設業に区分されます。
特定建設業許可
建設工事の発注者から直接工事を請け負う(元請)者が、1件の工事について、下請代金の額(その工事に下請契約が2以上あるときは、その下請代金の総額)が4,000万円以上(ただし、建築一式工事は、6,000万円以上)となる下請契約を締結して工事を施工する場合は、特定建設業の許可を受けなければなりません。
(なお、この金額には、消費税を含み、元請が提供する材料等の価格は含みません。)
神奈川県建設業許可の手引きより
一般建設業許可
特定建設業許可が必要となる工事以外を行う場合は一般建設業の許可が必要です。
県知事許可・大臣許可・一般許可・特定許可の4種類の許可ではなく
県か大臣か?と、一般か特定か?の組み合わせになるわけですね!
注 意
※ 同一の建設業者が、ある業種については特定建設業の許可を取得し、他の業種については一般建設業の許可を受けることができますが、同一業種について特定建設業許可・一般建設業許可の両方を受けることはできません。
※ 特定建設業許可は、あくまで元請として下請負人に出す金額についての制約であり、下請負人として工事を施工する場合は、請負金額の制約はありません。
うちは川崎でしかやっていないし、孫請会社だから
「神奈川県知事許可」で「一般建設業許可」が
必要ってことかな?
仰る通りの許可になります!
Bさんが「神奈川県知事許可」で「一般建設業許可」を
取得すると、今までできなかった500万円以上の工事を
行えるようになるということです!
必要な許可の種類が分かったら、次回「許可を得るにはどのような要件があるのか?」解説していきます!
さいごに
なにを隠そう我々とりかに兄弟の父は建設業の会社を経営しています。
父は20代で独立、その後法人化し、現在に至るまで現場に出ながら経営もこなす、スーパービックダディです。
そんな我らが父も建設業許可を取得してました。現場仕事をしながらケイカン・センギ・財産要件・営業所要件をいつの間にそろえていたのだろう・・・とふと思いました。
話を聞いてみると、やはりそこには行政書士がいました。
行政書士に関わったことがないまま、行政書士になった私たちですが、父が私たちをここまで育てられたのは、建設業許可を取ってくれた行政書士のA先生がいたからなんだなあと感じました。
・・・そう、建設業許可には行政書士は切っても切れない存在なのです。
もちろんご自身で許可の申請をこなすのは可能です。
ですが実際、日々の業務に追われながら、30種類近くもあり、その一つ一つに細かい決まりのある建設業の許認可をとることはなかなか大変な事です。
何より集める書類が多いことに驚かれるでしょう。
そのうえ、官公庁が開庁している時間は皆さんはお仕事に従事しているはずです。
そんな時にはぜひ、行政書士に相談してみるのがいいかもしれません。